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STORY
その日、のばらはバス停へ急いでいた。
大好きなおばあちゃんの家に行くために。
幸い、バスはまだ来ていないらしい。
ベンチに腰を掛け、目を閉じる。
半ば眠りに落ちかけた耳に、バスの走行音が届く。
寝ぼけている間に、自分でバスに乗り込んだのだろうか。
瞼をこすりながら周囲を見回すと、
そこには異様な光景が広がっていた。
朽ち果て錆が浮いた車内、乗客はおろか運転手の姿も無い。
異様な光景に怯えつつ、のばらはゆっくりと歩きだした。
こんな所にはいられない。
今日はどうしても、
おばあちゃんの家に行かなくてはならないのだから。
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